後発組のJR西日本がどのようにして事業化に至ったのか、また先発組との違いは何か。JR西日本鉄道本部電気部通信課の高月真明課長(高は正しくは「はしごだか」、以下同)に話を聞いた。

 高月課長によれば、JR西日本が情報通信事業への参入を検討し始めたのは、新型コロナウイルスの感染拡大が始まる半年前、2019年8月のことだった。近い将来の事業化を目指して、阪急阪神ホールディングスの子会社で、光ファイバー事業を行っている阪神ケーブルエンジニアリングに話を聞いて勉強を始めたという(なぜ阪急阪神HDのグループ企業が同業他社、しかも大阪~神戸間で競合関係にあるJR西日本に協力したのか疑問に思う読者もいるかもしれないが、それについては後で説明しよう)。

「それまでは鉄道事業や関連事業でもうかっていたので、鉄道事業用に引いた光ファイバーでリスクを冒してまで商売しようとは考えていませんでした。ところが、話を聞いていく中で新幹線の光ファイバーなら、ぜひ借りたいという企業があることが分かり、そうであれば多少のリスクがあっても事業化したいということで検討を始めました」

 そこに降って湧いた災難がコロナ禍である。

「鉄道事業の収入がかなり減っている中で、事業として成り立つのであれば急がなければならないとして検討が加速しました」

山陽新幹線に沿って敷設した
光ファイバーが切り札

 新規参入にあたって切り札となったのが、分割民営化後に運行管理や列車無線用として山陽新幹線に沿って敷設した光ファイバーだ。先行する大手私鉄のネットワークは都市内に張り巡らされたものだが、山陽新幹線に沿って敷設された光ファイバーは大阪、神戸、岡山、広島、山口、福岡などの各都市を、しかも直線的に結んでいる。

 この区間には既にNTTなど通信事業者や電力会社の光ファイバーも敷設されているが、これらは道路下や電柱、送電線に沿って設置されているため、必ずしも直線的なルートではない。