スーツ 消滅と混沌#2Photo:taa22/gettyimages

ワークマンやユニクロの参入で、洗えたり、伸縮性があったりする「機能性スーツ」市場が堅調だ。旧来のスーツと比べ、製法や布地が異なる機能性スーツの品質はどれほどなのか。特集『スーツ 消滅と混沌』(全8回)の#2では、スーツの“プロ”である百貨店バイヤー2人が、新旧5社の商品を徹底検証。縫製、生地の実力をランキング化する。(ダイヤモンド編集部 相馬留美)

百貨店の現役スーツバイヤーが
新旧5社の人気スーツを徹底分析

「スーツの良しあしは縫製と生地のバランスで決まる。料理と一緒で、高級食材イコールおいしいわけじゃない。どんなにいい生地を使っても、“調理方法”が駄目なら台無しなんですよ」

 こう力説するのは、ある大手百貨店で長年にわたってスーツのバイヤーを担当してきた現役社員だ。

 かつては百貨店の独壇場だったスーツ市場。そこにスーツ専門店に加え、最近では門外漢だった企業まで参入しており、勢力争いは混沌としている(本特集#1『ワークマンがスーツ事業に殴り込み!ZOZOも大失敗の衰退市場に異業種殺到の理由』参照)。

 ワークマンなどの新参組が手掛けるスーツは、洗えたり、伸縮性があったりするなどの特徴を持つ「機能性スーツ」と呼ばれるカテゴリーに属する。機能性スーツの品質を評価しようにも、素材も作り方も違うため、従来のスーツの品質基準を使うことができない。

 実際のところ、機能性スーツの品質はどの程度のものなのか。価格に見合った“価値”はあるのか。

 そこでダイヤモンド編集部は、匿名を条件に大手百貨店の現役のスーツバイヤー2人の協力を得て、ユニクロやワークマンなど人気の機能性スーツ5商品の品質を検証した。

 今回対象とする商品は下記の通りだ(価格は全て税込み)。なお、各スーツは、機能性スーツとして店頭で店員に薦められたものをセレクトした。

・ユニクロ「感動ジャケット、感動パンツ」 9980円
・ワークマン「リバーシブルワークスーツジャケット、2WAYワークスーツパンツ」 4800円
・青山商事(洋服の青山)「ゼロプレッシャースーツ」 9900円
・AOKI「アクティブワークスーツプレミア」 1万0978円
・オアシススタイルウェア「ワークウェアスーツ」 3万3000円

 評価するのは、冒頭に登場したこの道数十年のベテランで、現在はオーダーメードスーツを担当する佐藤さん(仮名)と、機能性スーツのバイヤーを担当する吉永さん(仮名)だ。縫製や生地、デザインなど7項目について、10段階で格付けしてもらった。

 百貨店のスーツの“プロ”たちは、どんな評価を下すのか。まずは、アパレル企業の実力を示す「縫製の品質」から見ていこう。