オーダースーツの課題は受け取りまでに時間がかかることだ。1~2カ月かかることも珍しくない中、7日で受け取れる“特急スーツ”が人気を集めている。常識破りのスピードでオーダースーツを完成させる青森県の工場に潜入。特集『スーツ 消滅と混沌』(全8回)の最終回では、廃校の跡地を活用し、国内でDX(デジタルトランスフォーメーション)を極めたスーツ工場の秘密を探る。(ダイヤモンド編集部 相馬留美)
オーダースーツの最先端
青森の廃校工場に潜入
青森空港から車で約30分。地平線まで続く田園風景を通り抜けると、校舎らしき建物が見えてくる。2011年に閉校した青森県田舎館村の村立小学校の跡地を利用した、オリジナルテクノロジーの青森工場だ。
オリジナルテクノロジーは、オーダースーツ専門店であるビッグヴィジョンのグループ会社で、スーツの製造を手掛けるメーカーだ。
ビッグヴィジョンの売り上げはここ数年横ばいであるものの、11年にグループ化したオリジナルテクノロジーの青森工場は、オーダースーツのOEM(受託製造)で急速に売り上げを伸ばしている。最大の武器は、通常1カ月程度かかるオーダースーツを、注文からたった7日間という驚異的なスピードで届けることができるからだ。
なぜ従来の4分の1以下のスピードで製造できるのか。オリジナルテクノロジーの青森工場への潜入取材で秘密を探った。