そんなときはどうするか。改札口で「乗車券を無くしてしまいました」と駅員に申し出れば、許してもらえると思ったら大間違い。それほど日本の鉄道は甘くはない。

 駅の係員に乗車券を紛失した旨を告げて、同じ乗車券を買い直さなければならない。その乗車券には「紛失再発行」したものであることが記されるので、下車するとき、駅で「再収受証明」を受けることを忘れてはならない。

 再収受証明は運賃を2度支払ったという証明書であり、もし紛失した乗車券が1年以内に見つかったら、再収受証明を提示して全額払い戻してもらえる。ただし、手数料は差し引かれる。

不正乗車していなくても
挙動不審であれば3倍請求も!?

 そこで問題になるのが、不正乗車した場合だ。A氏が初乗り運賃の乗車券を買っただけで、東京駅から在来線を乗り継いで大阪駅まで乗車したとする。大阪駅で下車するとき、「一つ手前の新大阪駅で乗車したが、乗車券を紛失してしまった」とA氏は嘘の申告をし、新大阪―大阪間の乗車券を買い直して改札を出た……。

 A氏は明らかに不正をしたのだから、嘘が発覚した場合は詐欺罪が成立する。A氏は東京―大阪間の運賃に加えてその2倍の料金、都合3倍の料金を支払わなければならない。

 たとえ、区間の正規の運賃を支払って乗車したとしても、乗車券を紛失した旨を駅の係員に申し出たとき、挙動不審を疑われたり、駅員に対する態度が悪かったりすると、不正乗車をしたとみなされ、正規の3倍の料金を請求されることもあり得る。

 というのも、鉄道営業法の罰則規定に、疑わしい場合は正規の運賃の3倍の料金を請求できることが認められているからである。乗車券は絶対に紛失してはならない。