株投資 入門&実践#3Photo:PIXTA

ラップ口座、ファンドラップの代替商品となり得るのがバランスファンドだ。低リスクとアピールして残高を大きく伸ばす商品もある。だが、人気バランスファンドは不都合な真実を抱えている。特集『株投資 入門&実践』(全18回)の#3では、コストや運用効率の面ではどうか、データで検証していこう。(ダイヤモンド編集部 小栗正嗣)

ラップ口座はもう必要ない?
人気バランスファンドの真贋

「金融のプロに任せ」とうたい、契約残高を順調に増やすファンドラップ、SMA(Separately Managed Account)などラップ口座は、金融機関がお客に代わって資産運用をするサービスだ。

 ファンドラップは、大手で300万~500万円の最低契約金額のハードルをクリアすれば、「運用目的やリスク許容度に応じた資産配分を決め、それに沿って専用ファンドを組み合わせて分散投資する」というもの。幾つかのカテゴリーの資産を組み合わせることで、一つの資産だけに投資する場合に比べ、リスクを低減できるという「分散投資」が運用の要だ。

 ところが、取られる手数料がすこぶる高い。分散投資するのであれば、1万円以上、1円単位の小口で買える公募投信のバランス型ファンドで、300万~500万円以上のファンドラップと十分勝負できそうだ。#2で指摘した通りである。

 では、個人投資家は、銀行・証券で買える公募型のバランスファンドを買えばいいのか?残念ながら、そうではない。バランスファンドと一口にいってもさまざまあるが、2本の売れ筋ファンドを例に検証してみよう。

 一つ目は、この1年で最も売れたバランスファンドで純資産残高6132億円を誇る、アセットマネジメントOneの「投資のソムリエ」である。独自のリスク管理手法の導入で「投資環境の急変を察知し、配分比率を機動的に変更することで、大きな損失を下げる」とうたい、地方銀行を中心とした幅広い販売チャネルで、特に窓口での積極的な対面販売を通じて残高を積み上げている。急速な伸びは下のグラフの通りだ。

 二つ目は、ファンドラップと同等の運用ノウハウをうたう、野村アセットマネジメントの「のむラップ・ファンド」である。ファンドラップと違い、1万円以上あれば購入できる公募型ファンドだ。

 保守型、やや保守型、普通型、やや積極型、積極型とスタイルによってリスク水準が異なる五つのファンドが用意されており、主力の普通型は純資産残高を1396億円に伸ばしている。こちらも地方銀行を中心とした幅広い販売チャネルを持ち、投信自動積み立ての主力メニューとして存在感を発揮している。

 ところが、これら人気バランスファンドは不都合な真実を抱えている。低リスクはいいが、コストや運用効率の面ではどうか。他で買えるインデックスファンドを組み合わせ、自前の“簡単ラップ”をつくれば、売れ筋2本に負けないのである。このことをデータで示していこう。