株式市場では、規則的な価格の動きや相場の経験則があるといわれている。理論では説明できないアノマリーといわれるものである。「5月売り」「月末ドレッシング」といった現象や相場格言は信じていいものなのか。特集『株投資 入門&実践』(全18回)の#11では、データでその真偽を検証してみよう。(ダイヤモンド編集部論説委員 小栗正嗣)
データで検証した相場格言のウソ・ホント
年末大納会に向けて上がる「掉尾の一振」は〇
株式市場のアノマリーとは、ある現象を説明する際に、理論的ではないが経験則上当てはまるパターンが存在しているということ。テクニカル分析、クオンツ分析などでもしばしば活用され、市場で注目されている指標の一つだ。
果たして、それは実際に使えるものなのか。シーズナリティ(季節性)など代表的なアノマリーを検証してみた。以下の六つのアノマリーは比較的“当たっている”と評価できる。
相場の世界には100パーセント確実な法則など存在しない。だが、季節性の中に、このところ無視できない相場格言、アノマリーが存在している。
その筆頭は「掉尾の一振」。株価が年末の大納会に向けて上昇することである。
かつてはお化粧買い、ご祝儀相場といった要素が色濃かったが、月末値を基準価格として評価する機関投資家やヘッジファンドなど、年末を決算とするプレーヤーが株式市場のメインとなってからは、基準価格の上昇をもくろんだ買いが年末に集中することを期待したもの。1970年以降の日経平均株価で、月末1週間の騰落率を検証すると、勝率7割3分と高い確率で上昇している。平均上昇率も1.2%と1週間ではあるが、なかなかの上昇率である。特に78年から85年にかけては8年連続で年末に上昇していた。
2000年以降でも、21回中16回が上昇、勝率7割6分、上昇率1.4%を誇る。99年から06年まで8年連続で上昇と、パフォーマンスは悪くなっていない。年間の騰落率がマイナスであっても、年末だけはお化粧が施されるアノマリーだ。
この「掉尾の一振」の他にも、比較的“当たっている”と評価できるアノマリーがある。残る五つは何か。