3月末に一時1ドル=110円を突破するなど、今年以降円安・ドル高傾向の中で関心が集まる為替相場。だが、ナンバーワン為替アナリストとして知られるJPモルガン・チェース銀行の佐々木融市場調査本部長は、早晩100円を割り込むような円高への回帰が不可避だと見通す。特集『決算直前 米国&日本 最強の投資術』(全13回)の#12では、その理由や、今後強さを増しそうな注目通貨などについて佐々木氏の分析をまとめた。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)
従来の円相場の「常識」が崩れてきた
今後数年は「リスクオンでも円高」に
「リスクオンの円安」「リスクオフの円高」。為替相場での円相場の動きを巡り、市場ではしばしばこんな解説が聞かれる。株高の局面など、金融市場において投資家がリスクを取りやすくなっているリスクオンの際は円安・ドル高となり、逆にリスクオフのときは円高・ドル安となる――。これが従来の円相場の「常識」だった。
だが、機関投資家が選ぶ為替アナリストランキングで今年、4年連続ナンバーワンとなったJPモルガン・チェース銀行の佐々木融市場調査本部長は、上記のような法則が崩れつつあると分析。「今後数年間はリスクオン時でも円高・ドル安方向に動くことが想定される」と話す。
そして、円相場は米金利上昇などを背景として3月末に一時110円台を突破するなど、今年に入って円安方向に傾いてきたものの、早晩100円割れとなるような円高局面がいつ訪れてもおかしくないという。さらに今後数年間の方向性を見据えても、90円台への円高の回帰が不可避との見方も示す。その理由とは何だろうか。次ページから、最近の相場環境を踏まえ、佐々木氏が強さを増すと考える注目通貨の存在と併せて解説していこう。