かくしてSNSではかっぱ寿司の状況が刻々とリポートされた。イラつく客、急ぎすぎによってネタがシャリから落ちて提供される寿司、必死に働き続ける店員と、一向にさばける気配のない客数……。こうした修羅場を、多くの人は“地獄”という言葉を用いて表現したようである。事前予約番号がメルカリで売られるケースもあったようだ。
営業時間内に来店した客を到底さばききれないと判断したかっぱ寿司は、入店できなかった客に「次回以降来店時、半額券」を配ることで対処した。「ごめんなさい、今日は入れないので残念でした。諦めてお引き取りください」としなかったかっぱ寿司のこのやり方は、顧客を大切にする姿勢が見て取れて個人的には好ましく思えたが、この半額券もメルカリでじゃんじゃん売られ始めたようであった。メルカリは本当にものすごいプラットフォームである。
以上が、9月26日にかっぱ寿司で起こった“伝説”の概要である。
半匿名と匿名が醸しだす違いとは
筆者が最初にこの“伝説”を知ったのは、ネットのまとめサイトだ。
ネット上で話題になっているトピックが提示され、それについてSNSなどで繰り広げられる無数のコメントが紹介されているサイトである。
まず、キャンペーン自体と壮絶な混雑を知り「関わった人たちがみんな大変そうだなあ」と感じた。その後「企業も店員も客も誰も幸せにならないキャンペーン」といったコメントにちょっとしたユーモアを一瞬感じ、「緊急事態宣言中にかっぱ寿司は何をやっているんだ」「子どもは並ぶのは嫌いだろうから、かわいそう」などを読んでは、ひとりうなずいていた。