世界経済の成長減速懸念や米国債利回りの上昇を受けて、ドル高に弾みがついている。主要16通貨のバスケットに対するドルの価値を示すウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)ドル指数はここにきて2020年9月以来の高値に到達。6月以降、ほぼ一本調子で上げ、過去1カ月で2%近く上昇している。ドル高は株式など高リスク資産の上値を抑える可能性がある。ファクトセットによると、S&P500種指数の構成企業は売上高の約4割を米国外で稼いでいる。ドルが上がれば、現地通貨建てで海外で稼ぐ利益は目減りする。一方で、新興国やその企業にとっても多額のドル建て債務が膨らむため、ドル高は悩みの種となる。アバディーン・スタンダード・インベストメンツの投資マネジャー、ジェームズ・アゼイ氏は「ドル高は(建物解体用の)鉄球のようなものだ。国際金融市場の環境を全般的に引き締める」と指摘する。