また、多くのメンバーで飲みたい場合、コロナに対するリスク感覚、所属する組織のルール、個人が意識しなければならない風聞リスクなどの点で、なかなか合意できない場合がある。こうした場合には、条件合わせにイライラしたり、いつまでも条件が合うことを待ったりするよりも、さっさとオンライン飲み会を開いてしまう方が建設的だろう。

 ただし、経験からアドバイスを申し上げると、オンライン飲み会は、発言していない時についついお酒を飲んでしまうし、終わりの時間が延びやすいので、飲み過ぎになりやすいことをご忠告申し上げておく。

お酒を「飲ませる側」の飲食店と
政府・自治体に望みたいこと

 飲む側のルールだけでなく、「飲ませる側」である飲食店、さらに飲食店を規制しようとする政府・自治体への要望を述べておこう。

 まず飲食店には、やる気を失わずにぜひ営業を続けてほしい。感染症の流行(今後いくらでも起こり得る)くらいで商売をたたむのは残念すぎる。

 席間の確保や換気、消毒の徹底などの対策は当然として、より長時間の営業を模索してほしい。規制の考え方にあっても、営業時間は「短縮」するのでなく、むしろ前後に「延長」して、客同士の密度の上昇を避けながら店が採算を取れるように配慮する方向を目指すべきだ。

 例えば、一人客が静かに飲むようなショットバーを、アルコールの提供は20時までだと規制するのは馬鹿げている。善良なる酒飲み諸氏は、知事をリコールしたい怒りに駆られているのではないか。

 業態や店の構造、感染症対策の良し悪しなどで規制は変わって然るべきだし、なるべく店や客の自由な判断に任せるべきだろう。自治体には、もう少しきめ細かく、かつ柔軟な対応を望みたい。理不尽な規制を振りかざして、ルールが守られたり、守られなかったりするような状況が生じると、地域社会が荒れる。守られないルールならない方がましだ。コロナに対して、ワクチン接種も進んで治療薬にも希望が出てきたのだから、「対策は国民・住民の行動の規制だ」という基本姿勢をそろそろ変えるべき時だろう。

 例えば、「客の単位は2人までで、静かに飲食すること」を店も客も守るような飲食店に時間制限は不必要だろう。

 また、営業上の事情が異なるので一律ではないが、店側には、「単価は上げてもいい」、しかし「提供する飲食の質は落としてほしくない」と要望を述べておく。日本の物価の国際比較上の安さは飲食店にも広く及んでいるが、「安いニッポン」が「まずいニッポン」に変わることは、経済の上でも文化の上でも、絶対に避けてほしい事態だ。

 コロナに負けずに、おいしいお酒を気持ち良く飲みたい。