余裕をつくったほうが効率は上がる
「どこで手を抜けるか」という質問に対して、「手を抜けるところはない」と答える人もいます。
「自分の信条として、絶対に手抜きはできない」と言う人もいます。
その場合には「しなくていいこと」を探すのが難しくなりますが、別のやり方があります。1日の仕事量を全体的に減らすのです。
たとえば、1日に5個の作業をしていて手抜きができず、いっぱいいっぱいになっているのであれば、その日に絶対しなければいけない作業を2個か3個に絞り込みます。残った作業は翌日以降にくり越してもいいでしょう。
「全力で2~3個の仕事をする」か「少し手を抜いて5個の仕事をする」か、自分で選びます。
このように、ギリギリまで仕事をつめ込まず、余裕をつくることで、仕事の効率も上がります。
何事もやりすぎは禁物。
忙しいときほど少し立ち止まって、手を抜けるポイントを探し、スケジュールを見直しましょう。
(本原稿は、本田秀夫著『「しなくていいこと」を決めると、人生が一気にラクになる』より一部抜粋・改変したものです)
信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授・同附属病院子どものこころ診療部部長
特定非営利活動法人ネスト・ジャパン代表理事
精神科医。医学博士。1988年、東京大学医学部医学科を卒業。東京大学医学部附属病院、国立精神・神経センター武蔵病院を経て、横浜市総合リハビリテーションセンターで20年にわたり発達障害の臨床と研究に従事。2011年、山梨県立こころの発達総合支援センターの初代所長に就任。2014年、信州大学医学部附属病院子どものこころ診療部部長。2018年より、同子どものこころの発達医学教室教授。発達障害に関する学術論文多数。英国で発行されている自閉症の学術専門誌『Autism』の編集委員。日本自閉症スペクトラム学会常任理事、日本児童青年精神医学会理事、日本自閉症協会理事。2019年、『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK)に出演し、話題に。著書に『自閉症スペクトラム 10人に1人が抱える「生きづらさ」の正体』『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』(以上、SBクリエイティブ)、共著に『最新図解 女性の発達障害サポートブック』(ナツメ社)などがある。