なぜヤフコメが栄えるのか、
四つの理由

 まず一つ目に、ヤフコメの投稿者は匿名であるということだ。頻繁に出没するためそのニックネームが半分SNSアカウントのように認知されている人などもいるが、基本的に匿名性がしっかり守られている。
 
 匿名性は、ヒトを“社会的な生き物”という自覚から遠ざける作用を持っている。「自分の言動に責任を持たなくていい」と勘違いした一部の人が、えげつない言葉や表現を操って誹謗中傷を加速させているのである。匿名はたしかに気軽に感じられ、ならではの面白さもあるのだが、ヤフコメにおいては、その「良さ」が悪い方に出ていると言わざるを得ない。
 
 二つ目の理由は、時に“トイレの落書き”などと称されるネット掲示板などに比べると、ヤフコメはもっとメジャーな階層に位置しているという点だ。

 たとえば、巨大ネット掲示板5ちゃんねるは、ディープで、その雰囲気を好む人が検索して掲示板を訪れたり、まとめ記事を読んだりして触れることができる。しかしヤフコメは、Yahoo! JAPANのトップページに表示される「ニュース」などをクリックすればすぐに読むことができる。一般の多くの人が、ブラウザの起動からほんの1、2クリックでヤフコメに接することができるのである。
 
 そして、三つ目が「ストレス解消になる」という点だ。

 5ちゃんねるなどとは違って、ヤフコメを見ると言葉遣いなどは、一応社会性を保つ努力が施されているものが多い。ただ、その主張自体は暴力的であったりするのだが、言葉遣いが丁寧であるため正論っぽく見えたりする。それでかえって暴力性は先鋭化して見え、たちが悪い。その丁寧さを取っ払って、極端な罵倒表現などを繰り返す人もいる。

 そうした人たちは「罵詈雑言(ばりぞうごん)を吐くことでストレスを発散」し、またギャラリーも多いのでそれを「誰かに見てもらえることで快感を得る」という、二重の愉悦をヤフコメ投稿に見いだしているのではないか。