12月の衆議院選挙の最大の争点が日銀の金融政策および独立性となっていることを海外メディアは呆れたトーンで報じている。

 例えば、英「フィナンシャルタイムズ」社説(11月19日)は、日銀の消極的な緩和姿勢を批判しつつも、「政治家に金融政策の最終決定権を与えることは賢明ではないし、日本経済の問題解決にならない。日本経済の成長を阻害している要因は、金融政策では克服できない。5年間で6人も首相が登場する国では、中央銀行の独立性は重要な防護壁だ」と述べた。

 安倍晋三・自民党総裁は衆議院選挙をにらみ、日銀法改正、2~3%のインフレ目標、無制限資金供給、マイナス金利政策、建設国債の全額日銀引き受けを提唱している。債券市場はこれを冷ややかに見ている。建設国債の全額日銀引き受けが現実化すると多くのトレーダー、投資家がもし思ったら、国債価格は急落しているはずだ。

 一方、株式市場は安倍発言に大喜びである。しかし、所詮、一時のカンフル剤の域は越えないだろう。そもそも論として、金融政策で潜在成長率を押し上げることはできない。「日銀はもっと要領よくできないのか?」という議論はあってしかるべきだが、少子高齢化対策、移民問題、産業競争力支援策、エネルギー政策、中国との関係改善など、日本経済のために政治が取り組まなければならない課題は山積している。