一方で、以下に掲げるように、残された課題も3つ見えてきました。2018年以降、社会人の学び直しが重要視されてきましたが、自律的に学ぶ習慣の定着には至っていません。また、労働時間の短縮とテレワークの拡大によって働き方の柔軟化が目に見えて進む中で、働く時間の自由度が低下したと感じたり、業務負荷を感じたりする人が増えてきました。そして、仕事におけるハラスメント防止の意識が高まったことで、これまで表面化してこなかった職場で起こる差別などの課題も見えてきました。

【課題1】自律的な学びが定着していない(IndexIV「学習・訓練」)

【課題2】勤務時間の自由度が低下し、業務負荷は高まる(IndexIII「ワークライフバランス」とIndexV「ディーセントワーク」)

【課題3】職場におけるハラスメントが表面化する(IndexV「ディーセントワーク」)

注視していきたい
働き方改革の2つの側面とは

 次回以降は、3つの進化と3つの課題の中から、「【進化1】労働時間の短縮化が進む」と「【課題1】自律的な学びは定着せず」の2つのポイントに注目し、その詳細を紹介していきます。

「【進化1】労働時間の短縮化が進む」は、2016年から2020年にかけて進めてきた働き方改革の大きな効果のひとつといえるでしょう。しかし、この進化は同時に新たな「課題2 勤務時間の自由度が低下し、業務負荷は高まる」も表出させました。第2回ではこの内容について紹介していきます。

 さらに第3回では、「【課題1】自律的な学びが定着していない」について取り上げます。2018年に社会人の学び直し(リカレント教育)の重要性が説かれて以降、順調に上昇してきたIndexIV「学習・訓練」の水準は、なぜ2020年に大きく減少したのでしょうか。構成要素であるIndicatorの動きとともに見ていきます。

(リクルートワークス研究所 研究員/アナリスト 孫 亜文)