おじさんの生態にマッチする楽しみ方
“毒を吐く”

 20~40代の男女を対象にした『バチェラー・ジャパン』に関するアンケート(マイナビニュース)で、「『バチェラー・ジャパン』シーズン2の一番おすすめのポイントを教えてください」という質問があった。参考に回答数上位3つを挙げると次の通りだ。

・女性たちのドロドロ感
・男性一人を複数の女性たちが奪い合うシチュエーション
・先が見えない展開を予想しながら楽しめる

 たしかに、上記3点をはじめとするいくつかの見どころがあるからこそ『バチェラー』は面白い。しかし恋愛バラエティー嫌いの人がこのアンケート結果を見ても、興味は毛ほども湧かないに違いない。異次元に住む人たちがそこでドロドロしようと、自分にはまったく関係のないことである。そもそも見れば不快になることがほぼ確実に予想されるのだから、興味うんぬん以前の問題である。
 
 では話を少し変えて、“テレビを見るおじさん”の姿を思い浮かべてもらいたい。テレビで放映されている番組はバラエティーでもニュースでもスポーツでもなんでもいい。そのおじさんは黙って静かに画面を眺めているだろうか。

 おそらく多くのおじさんは何かしらの悪態をつきながらテレビを見る可能性が高いと筆者は考えている。「おじさんは毒を吐く」のだ。

 ただテレビを見て毒を吐くおじさんは、毒を吐くためにテレビを見ているわけではない。テレビを見ていたら毒を吐きたくなってくるのである。

 というのも、自分の確立された感性に自信を持っていてそれを絶えず表明したい欲求があるから、「テレビで毒を吐く」はその発露の一部である。筆者がまさしくこれだ。

 そうしたおじさん(=筆者)で、恋愛バラエティー嫌いの人が『バチェラー』を見たらどうなるか。これはもう、水を得た魚とばかりに毒を吐く。あまりに毒を吐くので、もはや生き生きとして楽しそうにすら見えるであろう。

 つまり、恋愛バラエティー嫌いの人は、最初は毒を吐きながら観賞すべきである。毒を吐きまくるのは時として気持ちよく、本編の合間合間に挿入されるタレントによるスタジオトークで同じ趣旨の毒が吐かれているのを見ると、「ほらね? 俺は正しかったでしょ?」とさらに気持ちよくなることができる。まずこの点で、「『バチェラー』は極めておじさん向き」と言っていいであろう。毒との相性がいいのである。

 そして、そのまま番組を見続けると、次なる境地が開けてくる。