感情移入せざるを得ない仕組み
新しい自分との出会いもアリ

『バチェラー』は女性の勝ち抜きサバイバルで、回を追うごとに女性の人数は少しずつ減っていく。“バチェラー”が残す女性を決めていくからである。バチェラーは苦渋の決断で、時には涙すら流して、数々の女性に別れを告げていく。

 その様子を見守るおじさんは、どうなっていくか。

 最初こそ毒しか吐いていなかったが、さすがに出演する女性の人数が多く十人十色で、また美しい女性ばかりなので、「この女性はいい」と思えるいわゆる“推しメン”が見つかることになる。これは消去法でもよく、「せめてこの子に残ってほしい」でもいい。そう思ったらあとはバチェラーフリークへの道まっしぐらである。推しメンは残るのか、そのライバルはどう仕掛けるか…など、楽しみに思える部分が一気に増えることになる。

 そしていったん見始めると、誰が残っていくか気になるので次のエピソードをどんどん視聴することになると思うが、回を追うごとに出演者に対する感情移入がいよいよ激しくなってくるのを実感するはずである。

 筆者の場合だと、好きでない出演者が脱落した際に落涙するほどであった。最後まで好きになれなかった彼女ではあったが、バチェラーに対しての恋心は本物に思え、そこに一生懸命だった姿には胸を打たれるものがあった。第一印象から“嫌い”だったような女性をここまで応援したくなるとは、『バチェラー』視聴前は予想していなかった。新しい自分と新しい価値観を発見させてもらった気分であった。

 人は年を重ねると涙もろくなるという。おじさんといえばそろそろ涙もろくなってくる年頃であり、『バチェラー』には情緒を揺り動かす要素がふんだんに備えられている。この点でも、『バチェラー』はおじさん向けのコンテンツであると言える。