これから視聴する人へ
感想を言い合える相手の重要性

 ここまで説明した通り、種々の理由で実におじさんにお勧めしたい『バチェラー』なのだが、当然ながら最初の視聴に至る道が最難関である。この記事をはじめ、どれだけ他人に勧められようとも気が乗らないものはどうしたって乗らない。

 筆者の場合は、「妻に視聴を懇願されて」であった。妻もそれまでアンチ恋愛バラエティーであったが、『バチェラー』は予想外に面白かったらしい。「ぜひ一度見てほしい」と強く頼まれ、断りにくかった。

 しかも、視聴中は妻が隣に待機してくれるといい、これは心強かった。ほぼ確実に発生するであろう筆者の毒吐きを聞いてくれるリスナーが確保できたことが安心材料となった。そして第1話を見て、「次はどうなる?」と興味が湧いてきて、徐々に沼へとハマっていったのである。

 我が両親も激しいアンチ恋愛バラエティーであったが、バチェラーフリークとなっていた妹が帰省した際に無理やりリビングのテレビで『バチェラー』を流したところ、見事にハマった。父は、出演女性がジャケットやカーディガンを羽織ったり腰に巻いたりしているのを見て、「なぜちゃんと着ない?」などと腹を立てていたらしいが、これも『バチェラー』の楽しみ方のひとつである。

 感想をすぐに共有できる人がそばにいることは、『バチェラー』事始めとしては極めて理想的である。感想を言い合える相手がいれば、感じたことを胸にため込んでもんもんとする必要がなくなる。しかし、これは言うまでもないかもしれないが、SNSなど公共の空間で感想を発表する際はくれぐれも用心されたい。毒は密室で吐かれるべきであり、吐かれた本人が目にする可能性のある場所で吐くべきではない。

 筆者は『バチェラー・シリーズ』未視聴の人が心底うらやましい。2周目も楽しめるコンテンツではあるが、やはり1周目に味わうあの緊張感や高揚は得難いものであった。新シーズンの配信開始が今から待ちきれぬ思いである。

 ぜひご同輩のおじさん方に勧めたい『バチェラー』である。繰り返しになるが、初視聴の際は感想を共有できる人を確保するのがよろしかろう。