ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、オオカミのように相手の弱みをかぎつけることができる。最近では、欧州のエネルギー危機に乗じて、欧州連合(EU)の周辺諸国への影響力を強めようとしている。モルドバ共和国へのロシアの圧力を見てほしい。ロシア国有企業ガスプロムのこの小国へのガス供給契約は、9月に期限切れとなった。ロシア政府は、ガス供給の100%をロシアに依存するモルドバに対し、直ちに供給量を3分の2に減らした。その後ガスプロムは、ガス供給を維持する条件として、大幅な値上げを突き付けた。その結果、モルドバは最終的に緊急事態を宣言するに至った。プーチン氏は、ロシアが欧州のエネルギー危機を武器として利用しているという考え方について、「全くばかげている」と述べている。しかし、英紙フィナンシャル・タイムズは、より安価なガスを提供する見返りとして、「ガスプロムはモルドバに対し、EUとの自由貿易協定を調整し、EUと合意したエネルギー市場改革を遅らせることを提案している」と報じた。ロシアは、モルドバにユーラシア経済連合(EAEU)への加盟を強いるとともに、同国に独占的に天然ガスを供給している地位を維持したいと考えている。
【社説】エネルギー不足、ロシアの揺さぶり拍車
モルドバに天然ガス供給減で圧力
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