「健啖」とは、食欲が旺盛でよく食べること

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健啖家(けんたんか))

〔意味・由来〕 なんでもよく食べる人のこと。旺盛な食欲がある人。「健啖」+「家」の三字熟語。「健啖」は、食欲が旺盛でよく食べること。「家」と読むときには、その道のすぐれた人や、そのような性質を持つ人を表す。

 明治から大正期の評論家・内田魯庵の『二葉亭余談』には、二葉亭四迷の人となりが描かれている。猫をこよなく愛した二葉亭。その様子が微笑ましい。特に、「白いムクムクと肥った大きな牝猫が、いつでも二葉亭の膝の廻りを離れなかったものだ」とあり、「二葉亭はお祖父さんが孫を可愛がるようにホクホクして甘やかしていた」と描かれる。二葉亭の猫は、ひと際食い意地のはった健啖家で、客人の食事もわが物顔で大胆に食べようとする。それを行儀悪いと言いながらも、猫を愛で、「人間の道徳で猫を縛ろうとするのは人間の我儘」だと言ったそうだ。「健啖家」の飼い主と「健啖家」のペットの絆に、ペットは飼い主に似るのだと、納得した。

〔引用〕 ――が、この腕白猫めは頗る健啖家で、少とやそっとのお裾分では満足しなかった。刺身の一と皿位は独り占めにベロリと平らげてなお飽足らずに、首を伸ばして主人が箸に挿んで口まで持って行こうとするのをやにわに横取りをする。すると二葉亭は眼を細くして、「ドウモ敏捷こい奴だ!」と莞爾々々しながら悦に入ったもんだ。(内田魯庵『二葉亭余談』)

【この三字熟語わかりますか?】健□家<br />(ヒント)二葉亭四迷の猫は、ひと際食い意地のはった「健□家」でした

西角けい子(にしかど・けいこ)
ステージメソッド塾代表/学習コンサルタント/三字熟語研究家
オムロンを退職後、日本有数の大手塾の激戦区である兵庫県西宮北口にステージメソッド塾を開業。
国語力を急伸させる独自の「ニシカド式勉強法」により、わずか6ヵ月でごく普通の成績だった7名の塾生を日本一(全国版学力テスト)に育て、多くのマスコミから取材される。「お母さんの言葉がけ」と、「暗記力」「ノート力」「作文力」アップを重視した「ニシカド式勉強法」は定評があり、倍率10倍以上の超難関公立中高一貫校に、14年連続地域No.1の合格者を出している。片道3時間以上かけて通う小学生や新幹線や飛行機で通塾する中学生もおり、塾周辺に転居してくる家庭も多い。
ひょんなことから、国語の世界で影が薄い「三字熟語」のおもしろさに気づき、軽やかで、庶民的で、思わずクスッと笑ってしまう三字熟語にハマる。三字熟語ラブな思いが高じて、三字熟語クイズを作り始めた。夏目漱石や太宰治などの文豪が使う「三字熟語」の巧みな表現にしびれ、文豪の人間味や生き方に興味を抱き、文豪の出生地巡りや墓参りをしながら、「三字熟語」の探究を続けている。