米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は8月下旬に行った注目の講演で、今年のインフレ加速が一時的なものだと依然として確信している理由について、大半の時間を割いて説明した。だが、その後の物価動向を見ると、パウエル氏の読み通りの展開にはなっていないようだ。ここ2カ月に発表された経済指標は、パウエル氏の説明の一部に疑問を投げかけている。だからこそ、サプライチェーン(供給網)の制約が解消されれば、インフレ率は早期に目標の2%に戻るとの見方に以前ほど確信が持てなくなっていることを、パウエル氏自らも認めたのだろう。とりわけ足元のデータからは、物価圧力の高まりが広く波及しているほか、賃金の伸びが加速し、今年に入ってすでに大幅に値上がりしていた財の一部で価格が高止まりしている兆候がうかがわれる。
鈍化せぬインフレ、パウエル氏の読みに揺らぎ
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