欧米をはじめとする先進国はここにきて、貿易関税を使って炭素排出の削減を目指す「気候変動に関する実験」に乗り出した。実現すれば、国際交易のルールを根本から変える可能性を秘めている。米国と欧州は双方とも、鉄鋼、化学薬品、セメントを対象とすることを検討している。関税を導入することで、炭素排出が相対的に少ない国のメーカーが競争上、優位になる仕組みだ。こうした構想は、対象に上がっている業種を中心に米企業の間で受け入れ姿勢が広がってきたほか、国内製造業やその従事者から支持を得る好機とみる政治家の間でも浸透しつつある。バイデン政権は今週末、炭素排出削減の構想を盛り込んだ初の貿易合意を発表した。欧州連合(EU)との間で締結したその合意では、炭素排出量が多い鉄鋼製品の輸入を共同で削減する内容だ。
炭素税の機運高まる、業界勢力図塗り替えるか
気候変動対策を装った保護主義との指摘も
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