米連邦準備制度理事会(FRB)当局者は、米経済がまだ完全雇用には近づいていないとの判断を明確に示している。では、一体いつになればそこに近づくのだろうか?米労働省が5日発表した10月の雇用統計によると、非農業部門就業者数は前月比53万1000人増加し、エコノミスト予想の45万人増を上回る伸びを示した。また、8月と9月の就業者数の伸びは合わせて23万5000人上方修正された。こうなると夏場の雇用鈍化はもはやそれほど深刻に見えず、減速局面はすでに過ぎ去ったのかもしれない。それでも、米国の就業者数は新型コロナウイルス流行前の水準を420万人下回っており、コロナ禍が起きずに雇用拡大が続いていた場合に比べると、それ以上に少ないことになる。このことは、物価安定と可能な限り完全に近い雇用の達成を責務とするFRBにとって、利上げを急がない主な理由となっている。