ブラジル・サンパウロの郊外にある貧民街で暮らすシングルマザー、セリア・マトスさん(41)は、空腹のまま床に就く日々を送っている。4人の子どもに翌日もコメや豆を十分に確保しておくためだ。足元では肉など食料価格が30%高騰しており、今年の早い段階のようには十分な食料が買えなくなったという。マトスさんは「本当に屈辱的だ」と話す。ペルーからフィリピンまで、途上国全体で食料価格の高騰による痛みが広がっている。国連の食糧農業機関(FAO)は10月、世界の食料価格は2011年以来の水準に跳ね上がっていると指摘した。各国政府や支援団体からは、食料高が飢えや栄養不良を招いており、新型コロナウイルス禍による経済への打撃ですでに苦しんでいる貧困層には、とりわけ深刻な影響が出ていると危惧する声が上がっている。