中小国に広がる
中国離れの動き

 しかし、この動きは主要国間だけでなく、中小国の間でも表面化している。たとえば、中東欧諸国ではその動きが最近顕著に見られる。

 台湾の外交幹部は10月にチェコとスロバキア、リトアニアの3カ国を歴訪し、今後、政治や経済の分野で関係を緊密にしていくことで一致した。

 この訪問には台湾の政府機関幹部や民間企業トップら約65人あまりが同行したとみられ、蔡英文政権の戦略やビジョンを色濃く示すものとなった。また、チェコとスロバキア、リトアニアも一つには、台湾の半導体産業に接近したい狙いがあることも想像できる。

 チェコのビストルチル上院議長は9月に訪問し、台湾の国会に相当する立法院で演説したり、蔡英文氏と会談したりするなど台湾との友好関係発展に尽力した。上院議長とは事実上チェコでは大統領に次ぐ立場であり、中国側もこれに強く反発した。

 さらに、リトアニアでは9月、国防省が国内で販売される中国製の5Gスマートフォンに検閲機構が内蔵されているとして、国民に対して買わないように、また、持っていれば処分するよう呼び掛けた。

 問題になったのは中国の大手家電メーカー「小米科技(シャオミ)」が販売するスマートフォンで、「Free Tibet(チベットに自由を)」や「democracy movement(民主化運動)」「Long live Taiwan independence(台湾独立万歳)」などの言葉を検出、検閲する機能が搭載され、利用者がその言葉を含むネット情報をダウンロードしようとすれば、それを妨害できるようになっているという。

 リトアニア政府は今年になり、台湾との間で代表機関を双方に設置する計画を明らかにするなど、中国と距離を置く姿勢を鮮明にしている。中国政府はこれに反発して8月、駐リトアニア大使を召還する方針を表明した。

 チェコとスロバキア、リトアニアは台湾に欧米産の新型コロナウイルスワクチンを無償提供することも決定するなど、中国離れを鮮明に示している。