米政界がこのところ国内のもめ事で手一杯になっている一方、世界の各地では幾つかの出来事が起きている。ロシアはウクライナとの国境付近に数千人の兵士と軍装備を集結させている。今年に入り2回目だ。さらに、再びエネルギー供給を武器として、ウクライナ政府が西側寄りになるのを阻止しようとしているようだ。バイデン米政権はこれに対し、米国が監視していることをロシア政府に知らしめるため、元駐ロシア大使のウィリアム・バーンズ中央情報局(CIA)長官をモスクワに派遣した。一方、中国の習近平国家主席は、今年最も重要な二つの国際会議――ローマで開催された20カ国・地域(G20)首脳会議とスコットランドでの大規模な国際気候変動会議(COP26)――を欠席した。これはコロナウイルスを巡る懸念も一因だが、今週の共産党の第19期中央委員会第6回総会(6中総会)に備えるためでもある。6中総会は、習氏が中国の指導者として前例のない3期目に入るための道筋をつける会議となる。また、中国は香港や台湾に対する威嚇も続けている。米国防総省は中国軍に関する年次報告書の中で、中国政府が核兵器を急速に増やしており、今後数年で核弾頭の数が従来予測の2倍になる可能性があると指摘している。