「親が知らない新しいもの」に出会った時
気をつけていること

 そんなハルキくんは今、9000人を超えるTwitterフォロワーを抱え、本名で堂々と発信している。英恵さんはそれを、おおらかに見守る。

「こればかりは正解はなくて、“こうすべき”というものはないと思いますが、私はハルキの発信に関しては、本人の意思に任せています。

 というのも、人間って20歳前後を過ぎてから出合った新しいサービスや商品にたいして、本能的に抵抗感を抱くといわれているんです。たとえば昔、日本に初めて車が登場したとき、乗る人はほとんどいなかった。事故に遭うリスクがあるのに、どうして乗るのかと。でも今は、交通ルールを守りながらも、皆が当たり前のように乗っています。

 パソコンやスマホも、初期の頃は批判も多かったけれど、最終的には皆が使っている。それは、リスクを背負ってでも、使ったほうが可能性が広がることを知ったからだと思うんです。SNSもYouTubeも、ネットリテラシーを身につけた上で使えば、使わないデメリットよりも試すメリットのほうが大きいと、私は思っています」

 筆者も同感である。わかりやすい例は、「テレビは安全で、インターネットは危ない」という風潮だ。

 子どものYouTube投稿が危険だといわれているのは、コメント欄で誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)されたり、個人情報が流出したり、本名や顔を公開することで事件に巻き込まれたりする恐れがあるためだ。一方で、テレビの取材ならどうだろうか。

「お子さんの活躍ぶりを拝見しました。ぜひ当局の取材を受けてくれませんか?」

 名の知れたテレビ局からそんな連絡がきたら、きっと多くの保護者は、ふたつ返事でOKするだろう。

 しかし近年は、テレビへの出演がインターネット上での炎上につながったケースも数知れない。取材でうっかりとがった発言をすると、あっという間にお子さんへの批判は、SNSで、記事で、世界中に拡散される。なかには、本人にはなんの非もないのに炎上するケースさえある。

 英恵さんとハルキくんは、親子でビジネスの話をよくするのだそう。そのなかでインターネットリテラシーについても、何度も話し合ってきたという。

 大切なのは、子どもが「やりたい」と言ったとき、なぜそれをやらせたくないのか、保護者自身がよく考えることだと感じる。明確な答えが出せないときは、もしかしたらそれは、未知のものにたいする恐怖心からきているのかもしれない。