多くの方はこのような投資を淡々と継続していくのですが、中には突然利益に目が向き、利益目的の投資を始める人もいます。もちろん、コア・サテライトの考え方で、地味な積立投資でコアをしっかり持ち、サテライトとして利益目的の投資をするというのであれば構いません。しかし危険を顧みず、徐々に投資の範囲を広げてしまい、こちらから見ると将来が不安で仕方がないという状況になってしまうこともあるのです。

51歳会社員、老後を見据えて投資を始める

 老後資金の持ち方について相談に来た会社員のHさん(51)は、妻(50)と二人で暮らす老後資金として、約2000万円をコツコツと貯金でためてきました。定年時の退職金は約1200万円の見込みで、老後資金としてはある程度めどが立っている状態です。再雇用で継続して働けば、あと10年以上収入が見込めますし、さらに資産を増やしていける可能性もまだまだあります。

 ただ、やみくもにためてきただけで、資産の持ち方をこれまで考えてこなかったため、果たして貯金だけで持っていてよいのか、と疑問がわいたそうです。自分の老後資金の持ち方は、できれば一部を運用に回した方がよいだろうと考え、リスクが少ない投資の始め方などを知りたくて、相談に来たということでした。

 以前からつみたてNISA、iDeCoなどに関心がありやってみたいと思い、手数料を考慮しながらネット証券を開設したものの、投資は手つかずのまま。この口座を生かし、何とかiDeCoなり、つみたてNISAなりを始めたいそうなのです。

 住宅ローンは返済中ですが、当面必要な資金用途はなく、手元には400万円ほどの生活防衛資金があれば十分だろうと考えています。毎月の収支は黒字で、この400万円からも少しずつ貯金を増やしていけそうなので、すぐには、生活費不足などは起こらないでしょう。このように考えながら、Hさんご夫婦は、今の貯金の2000万円から生活防衛資金の400万円を引いた1600万円を、ゆっくり投資に回していくことにしたそうです。