中国人のゲーム愛に水を差す当局の規制、「LoL」世界大会の裏で若者の反発渦巻くPhoto:Zhang Peng/gettyimages

日本のプロ野球公式戦や大リーグのワールドシリーズ予選が決着を迎える頃、アイスランドで、プレイヤー人口1億人超とされる世界的人気を誇るPCオンラインゲームの「リーグ・オブ・レジェンド」の世界大会が開催されていた。11月6日の決勝戦では、中国チームのEDG(Edward Gaming)が、韓国チームのDK(DAMWON KIA Gaming)に劇的な逆転優勝を収めたが、この瞬間、中国全土で若者たちが狂喜乱舞した。(ジャーナリスト 姫田小夏)

動画共有サイト「ビリビリ」で3.5億人が視聴

「リーグ・オブ・レジェンド(以下、LoL)」は、2チームが互いに相手の本拠地を目指して激突するという内容で、世界で最も人気が高いPCゲームの1つだ。2016年の時点で、世界のアクティブユーザーは1億人を超えたといわれ、10代後半~20代前半の「Z世代」と呼ばれる若者層から絶大な支持を得ている。

 このゲームの世界大会の決勝戦では、先に3勝したチームが王者となるが、今回の中国と韓国の対戦は終始緊張に満ちていた。

 中国EDGは初戦に勝利したものの、第2ゲーム・第3ゲームは韓国DKに制され絶体絶命に。だが第4ゲームはEDGが勝利し、第5ゲーム突入と、過去にない展開を見せる。結果はEDGが3ゲームを制して韓国DKに3対2で逆転勝ちをした。世界中のLoLファンは、この実況中継を手に汗を握って見守った。

 英文雑誌『PC GAMER』は、「EDGの決勝戦は視聴者数の記録を更新した」と報じ、中国人ファンを除く世界の視聴者数は4万人超だと伝えた。また、中国の「証券時報ネット」によれば、中国国内では動画共有サイトの「ビリビリ」による実況中継を3億5000万人が、世界最大級のゲーム会社・テンセント系列の「テンセントビデオ」や、中国版ツイッターの「ウェイボー」などの動画共有サイトでは、それぞれ8600万人、8200万人が視聴したと報じた。

 中国の「Z世代」、すなわち15歳~24歳の人口は1億6950万人、さらに年齢層を前後5歳ずつ広げた10歳~29歳の合計が3億5175万人(数字は国連データを基に作成された「Population Pyramid.net」を参考)だとすると、上記アクセス数の合計はほぼ中国全土の若者がこれを視聴した可能性があることを意味している。