2位「外国人」
見当もつかない行動とは?

 東京にはあらゆる国出身の外国人が住んでおり、その方々が調査対象になることが近年増えています。日本人とは違う文化で生まれ育ってきた外国人は、日本人探偵が思いもつかない行動をすることがあります。

 例えば、とあるアフリカ系男性の不貞調査では、依頼者である日本人妻が何度も彼の不貞を暴いてきたのでしょう。

 その男性は不貞を働くために、5時間以上も自分のことを尾行している者がいないか、念入りに確認するのです。いろんな電車を乗り継いで終点まで行き、ホームをウロウロしたかと思えば、ベンチに座ってあたりの様子をうかがってみたり、また電車に乗って乗車駅に戻ってきて、別の電車に乗り換えて終点まで乗り…と同じような行動を5時間以上、何度も繰り返し、母国出身者が集まるバーに行き仲間たちとお酒を飲み、いろんな女性をナンパしては不貞を繰り返すのです。

 なぜそこまでして危険な不貞行為におよぶのか、その心理も理解に苦しみます。もっと楽な方法もあるのではないかと思いますが、その対象者にとってはいろいろなところをぐるぐる回って、誰もついてきていないことを確認して、安心して自分のホームグラウンドである母国出身者が集まるいつものバーで羽を伸ばすというのがルールなのでしょう。

 しかし、結局そのバーで待っていれば対象者は現れるのです。そして依頼者もその習性を熟知していて、私には知らせずバーで張り込んでいるのです。対象者がナンパを始めるとすかさずつかみかかり、詰問します。こういった場合、日本人だと、とにかく謝って収束するのですが、この対象者の場合は仲間のせいにして自分は悪くないと開き直るのです。

 冤罪(えんざい)を着せられた仲間は怒り、怒鳴り合い、殴り合いにまで発展します。周りの仲間たちはお酒を飲みながらボクシングの試合でも見るように楽しんでいます。誰も止めません。殴り合いの勝者となった対象者は、依頼者と熱烈な抱擁とキスを交わして家路につきました。

 全くもって理解を超えています。

 このような見当もつかない行動に振り回されるという経験は、大都市圏の探偵なら誰しも持つ、あるあるです。