さて、銀行業界において前代未聞なほど不祥事を連発しているみずほFGは、委員会等設置会社で社外取締役を委員長とする指名委員会が経営陣を選任している。

 みずほFGに限らないのだが、率直な疑問として、日本企業の社外取締役は役に立っているのだろうか。会社の経営陣に選ばれて、会社から報酬をもらい、(多くの人は)取締役会に出席するだけで現場との関わりがなく、経営陣に嫌われてクビになる残念な人が、経営の執行サイドを「取り締まる」ことなどできそうにない。

 日本の上場企業の多くで従業員の給与が上がらない中で、経営陣の報酬だけが上がり続けているが、その応援団となっているだけのように見える社外取締役が少なくない。インセンティブの構造を考えるともっともなことでもある。

 名前は挙げないが、近年深刻な不祥事を起こした企業の多くが、「立派な」(世間的な名前だけだという意味の皮肉だ)社外取締役を複数配している委員会等設置会社で、形だけ見るとコーポレートガバナンスの優等生だ。

みずほの次のトップをどうすべき?
「忖度抜きの社外取締役」になって考える

 さて、読者がみずほFGの指名委員会に属する社外取締役だと想像してみよう。みずほFGの次の経営陣はどうしたらいいか。問題に腹を立てたものの、次には「この銀行をどうしたらいいのか」に悩んでいる金融庁にとっても、具体的かつ喫緊の課題だろう。

 トップのクビを飛ばしたくらいで胴体から下が更生しないことは、みずほ銀行の過去の歴史を振り返ると明らかだろう。この点は、金融庁も今回の検査で苦々しく振り返ったに違いない。だからこそ、異例の表現の文書が生まれたのだろう。

 幸いにして、筆者も読者もそうした立場ではないが、「忖度抜きの社外取締役」になったつもりで、みずほFGの次の人事について考えてみよう。