「みずほ銀行入行世代」の抜擢なら
絶対に必要なこととは?

 この場合、理想的なのは、「みずほ銀行」になってからの入行者をトップに就けて、それ以前の世代を経営幹部から(少なくとも執行役員クラスから)一層することだ。富士銀行、第一勧業銀行、日本興業銀行の旧3行が会社分割・合併によってみずほ銀行が誕生したのは2002年4月だから、「みずほ銀行」に入行したのは、02年入行以降の行員となる。

 そうすると、初めて「入行年次、出身大学、出身旧行」といった“背番号”から、普通の銀行員のように「入行年次、出身大学」だけが“背番号”となる組織が誕生する。この辺りの機微は、現在、相対的には不遇であるように見える旧第一勧業銀行の出身者に聞くといいだろう。

 40代半ば以下「だけ」の経営幹部は魅力的だ。やらせたらできる人材は行内にいるだろう。しかし、ここで重要な条件は、新しいトップより上の世代を全て経営への関わりから引退させることだ。銀行員は犬並みに序列に敏感な生き物だ。自分よりも上の世代が影響力のあるポジションに残っていると仕事がしにくいし、上の世代も(多くは好意からとはいえ)仕事に関わりたがる。これでは、「体質」を変えられない。

 ここまでの組織の若返りは現実的ではないかもしれないが、「トップ」だけを若返らせることよりも、その上の世代の影響力を名実共に一掃することが重要であることを、指名委員会のメンバーは忘れないことが重要だ。特に社外取締役は「自分が誰に選ばれたか」といった些末な問題を意識的に忘れて、本来あるべき仕事に集中するべきだ。

 先ほどの例えを使うと、髪の毛だけを切るのではなく、首から上をすっかり取り替えるくらいのことをしないと、銀行という組織の「体質」は変えられない。これは、多くの人の想像の範囲であり、常識ではないか。TBS系の人気ドラマ「半沢直樹」シリーズを観た読者ならお分かりいただけるだろう。指名委員会は、トップの人選だけでなくトップが機能する環境づくりにも注意を向けるべきだ。

外部招聘は可能か?
旧三菱銀行か旧住友銀行のOB抜擢案

「みずほ銀行入行世代」での経営に向けた「つなぎ」として、外部から経営者を招聘するという選択肢もあり得る。

 銀行としての組織体質の変革とシステムの立て直しという問題に対処できそうな人材で思いつく条件は、他の2メガバンクの出身者ということになる。しかし、そもそもなり手がいるかという問題があるし、出身行との関係が微妙だ。