社長自らが企画・出演し
ユーチューブで魅力を発信
2000アイテム以上がそろう佐賀土産物店の代表格として支持を得るが、コロナ禍で状況は一変。県外からの人流減少に伴い、消費期限が迫る食品の廃棄、そのあおりで取引先の廃業といった事態に直面し、「顧客と最終的な接点を持つ商売人として何かできないかと考え、もう一つの販売チャネルとしてオンラインショップを立ち上げました」と語る。
ただし、先述したこだわりから単にモノを売るだけでなく、“顔の見えるコミュニケーション”を実現したいと試行錯誤。新たな顧客体験提供に注力している。
ユーチューブでは、吉原氏自ら企画・出演し、佐賀弁で商品の魅力や食べ方をナビゲート。社員や店舗スタッフ総出で、海苔ラーメンのおいしい食べ方を紹介する「トッピング選手権」など、思わず見たくなる企画をラインナップ。土産物店で、店員の方言を交えたトークについ商品を手に取ってしまうのに似た、リアルな温度感ある番組を展開している。
名産の海苔、アスパラガスを
使った麺を独自開発
取り扱う商品の品質・味の追求にも抜かりはない。特に、独自開発の「海苔うどん」「海苔そうめん」「海苔ラーメン」や、佐賀県特産のアスパラガスを使った「アスパラパスタ(平麺)」は自信の逸品。海苔やアスパラガスの栄養を手軽においしく取れるだけでなく、「海苔麺では全形サイズを取った後の切れ端、アスパラガスも規格外サイズのものを有効活用するなど、エコロジーにつながる商品としても支持を集めています」と言う。
●株式会社佐賀工房 事業内容/食料品等小売、海苔・海産物等小売、所在地/佐賀県佐賀市大和町東山田3746-1、電話/0952-62-7898、URL/sagacobo.co.jp
県内有数の製麺会社とタッグを組み、麺の腰、味わいもお墨付きだ。
さらに佐賀に縁がある層を基点に、ユーチューブを通じて初めて関心を持つようなライトユーザー向けに、佐賀名産を手軽にお試しできるセット商品もそろえ、ファン拡大に尽力する吉原氏。「地元の人は『佐賀はなんもなか』と言いがちですが、実は地元愛は強い。地元のメーカーさんも巻き込んで生産者の思いもどんどん伝えていきたいですね」と言う。
ニューノーマル時代の継続を見据え、オンラインショップの海外展開も構想中。コロナ禍のどん底を乗り切った同社のユニークな展開に期待したい。
(「しんきん経営情報」2021年11月号掲載、協力/佐賀信用金庫)