映画『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』2021年11月26日(金)公開 ©2021 Zadig Productions (c) Zadig Productions ‒ FTV

 同作品は、2017年のオークションにて約510億円という価格で落札され、世界的なニュースになりました。しかし、「ダ・ヴィンチ」という名で大きく取り上げられたにもかかわらず、絵画の作者がダ・ヴィンチ本人であるのか、もしくはダ・ヴィンチが主宰する工房において弟子たちによって描かれた作品であるのか、まだ真偽は定まっていません。

クリスティーズでのオークションの様子クリスティーズでのオークションの様子 ©2021 Zadig Productions (c) Zadig Productions ‒ FTV
オークション前にクリスティーズで展示された「サルバトール・ムンディ」オークション前にクリスティーズで展示された「サルバトール・ムンディ」 ©2021 Zadig Productions (c) Zadig Productions ‒ FTV

 当初「サルバトール・ムンディ」は、2005年に米美術商に売却されたときに、価格はわずか1175ドル(約13万円)でした。しかしその後、模写ではなくダ・ヴィンチの原画である可能性が浮上し、価格が上昇。アメリカ、ロンドン、スイス、ロシア、サウジアラビア、フランスといった各国の美術商や美術館、富豪などの手を経るごとに価格は釣り上がり、最終的には510億円という額になりました。そこには美術界にうごめく海千山千の猛者たちの思惑が、「サルバトール・ムンディ」の立場を複雑にし、闇を生んでいったのです。

劇中に登場するレオナルド・ディカプリオも美術界に踊らされたひとり?劇中に登場するレオナルド・ディカプリオも美術界に踊らされたひとり? ©2021 Zadig Productions (c) Zadig Productions ‒ FTV

 作品が最後に話題に上ったのが、上述した2019年にルーヴル美術館で開かれたダ・ヴィンチ没後500年の特別展。ルーヴル美術館は、同特別展の目玉として「サルバトール・ムンディ」の貸し出しを落札者に依頼します。当初、順調にいくかと思われた作品貸し出しですが、ルーヴル美術館が展示前に詳しく鑑定し、ある見解を出したことで一転します。最終的には購入者からルーヴル美術館への「サルバトール・ムンディ」の貸し出しが実現しなかったのです。それ以降は絵画がどこにあるのか、所在ははっきりしていません。

 芸術の秋、ミステリー小説のように楽しめる映画『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』を映画館で鑑賞してみてはいかがですか?

■ダ・ヴィンチは誰に微笑む
・上映:2021年11月26日(金)からTOHOシネマズ シャンテほかにて全国公開
・監督:アントワーヌ・ヴィトキーヌ
・URL:https://gaga.ne.jp/last-davinci/
・詳細:原題:The Savior For Sale/100 分/フランス映画/カラー/ヴィスタ/5.1ch デジタル/字幕翻訳:松岡葉子 c2021 Zadig Productions (c) Zadig Productions - FTV