ルーヴル美術館とあわせて、映画のなかで重要な位置を占めているのが、「サルバトール・ムンディ」を510億円の額で競売したクリスティーズです。

クリスティーズクリスティーズ ©2021 Zadig Productions (c) Zadig Productions ‒ FTV

 同社は1766年にロンドンで創業した、世界で最も長い歴史を誇っている美術品のオークションハウスで、世界各地で年間約350回のオークションを開催しています。ピカソ、ゴッホ、ナポレオン1世、ダイアナ妃など、歴史上の人物に関連した芸術品や個人財産などを扱うことも多く、それらはしばしばニュースにもなります。

 クリスティーズのパリのオフィスであるクリスティーズ・パリは、シャンゼリゼ大通りやフランス大統領官邸であるエリゼ宮から近いマティニョン通りに位置しています。

クリスティーズ・パリ©Yukinobu Shuzui
■クリスティーズ・パリ(Christie’s Paris)
・住所:9 Avenue Matignon 75008 Paris
・最寄り駅:地下鉄1・9号線Franklin D. Roosevelt
・URL:https://www.christies.com/

 1枚の絵画に過ぎなかった「サルバトール・ムンディ」は、その後に化けた510億円という価値ゆえに、国家間の外交問題にもかかわるようになります。映画でその舞台となるのが、フランス大統領官邸であるエリゼ宮です。同施設は、高級ブティックが軒を連ねるフォーブール・サントノレ通りに面して建っています。

エリゼ宮正面玄関、招待客はまずここで大統領に迎えられるエリゼ宮正面玄関、招待客はまずここで大統領に迎えられる ©Yukinobu Shuzui

 エリゼ宮は、元はエブルー公爵の邸でしたが、18世紀半ばにルイ15世の寵愛を受けたポンパドゥール公爵夫人のものになりました。その後、時代とともに所有者や建物の役割は変わっていきましたが、1874年より大統領官邸として使われています。

 エリゼ宮は一般公開されておらず、いつも周囲は物々しい警備に包まれています。ただし、9月第3週末の2日間「ヨーロッパ文化遺産の日」は見学可能。その際には、普段フランス大統領が執務している部屋や、要人との会合で使われている部屋を見ることができます。

■エリゼ宮(palais de l'Elysee)
・住所:55 Rue du Faubourg Saint-Honore 75008 Paris
・最寄り駅:地下鉄1・13号線Champs-Elysees-Clemenceau
・URL:https://www.elysee.fr/
劇中で絵画の行方の鍵を握るサウジアラビア皇太子劇中で絵画の行方の鍵を握るサウジアラビア皇太子 ©2021 Zadig Productions (c) Zadig Productions ‒ FTV

「サルバトール・ムンディ」は、各国の美術界を巻き込んでいきますが、その鍵のひとつがサウジアラビアです。同国のフランスにおける在外公館が、シャンゼリゼ大通りと高級住宅街が広がるパリ市内17区の間に位置する在フランス・サウジアラビア王国大使館です。

 在フランス・サウジアラビア王国大使館は、在フランス日本国大使館からも近く、それらのすぐそばには、18世紀後半オルレアン公の命により造られたモンソー公園があります。公園内にある古代ローマの海戦場を模した楕円の池とコリント式柱廊の景色は、特に有名です。

■在フランス・サウジアラビア王国大使館(Ambassade d'Arabie saoudite en France)
・住所:92 Rue de Courcelles 75008 Paris
・最寄り駅:地下鉄2号線Courcelles
・URL:https://embassies.mofa.gov.sa/