中学2年から株ひと筋で、株式投資歴30年以上のベテラン専業投資家、かぶ1000が『賢明なる個人投資家への道』を著した。中学時代から体育のジャージ姿で地元の証券会社に通い詰め、中高年の投資家にかわいがられ、バブル紳士にお金儲けのイロハを教えてもらった。中学3年生で300万円、高校1年で1000万円、高校2年生で1500万円へと株式資産を増やす。会計系の専門学校卒業後、証券会社の就職の誘いを断って専業投資家の道へ。2011年に“億り人”になると、2015年に3億円、2019年に4億円を突破。アルバイト経験さえない根っからの個人投資家が、学校では絶対に教えてくれないお金の知識と増やし方を徹底指南する。
お札は「借用書」?
金貨や銀貨の裏づけがなくなったいま、お金は政府の信用力によってその価値を保っています。
財布からお札をとり出してみてください。
そこには「日本銀行券」と書かれています。
これは「日本銀行(日銀)が発行する借用書」という意味なのです。
1万円札を刷るのにかかるコストは、1枚25円程度。
しかし、その400倍の1万円の価値があると信じられているのは、紙幣を刷っている日銀を国民が信用しているからです。
本来、日銀のような中央銀行は、政府から独立した中立的な立場であるべきだとされます。
しかし、実際のところ、日銀と政府はほぼ一体化しています。
日銀と政府が信用できなくなったら、日本銀行券の価値はなくなり、ただの紙切れとなってしまう可能性だってあります。
それは、瞬く間に物価が急騰する「ハイパーインフレ」という状態です。
第1次世界大戦に破れ、多額の賠償金を抱えた20世紀初頭のドイツでは、1923年末には物価水準が戦前の1兆倍以上になるハイパーインフレが起こりました。
パン1個を買うのに、何兆マルクも必要になり、100兆マルク紙幣が発行されたほどです。
このハイパーインフレは、遠い昔の話ではありません。
アフリカのジンバブエでは、2000年代初頭、経済政策の失敗などにより、インフレ率2億3000万%というハイパーインフレに陥りました。
このとき、ジンバブエの中央銀行は、100兆ジンバブエドル紙幣を発行しています。
南米のベネズエラは、世界屈指の原油埋蔵量を誇る産油国ですが、2015年頃を境として原油価格の下落に直面し、独裁政権の経済政策の失敗が重なって原油に依存していた経済が危機的状況に陥ると、ハイパーインフレが起こりました。
治安も悪化して、ここ数年でおよそ数百万人が国境を越えて隣国へ流出したといわれます。
日本では、政府債務残高がGDP(国内総生産)比で266%(国際通貨基金2020年予測)となり、アメリカのほぼ2倍に達しています。
それでも債務の大半は国内で保有されているため、現時点で、日本で同じようなハイパーインフレが起こる確率は決して高いとはいえません。
それでも信用をベースとする不換紙幣で日本経済が回っている以上、その信用が崩壊すれば金融パニックが起こる可能性はゼロではありません。
そうした金融パニックに対する備えとして、大切な自分の資産を現金以外の方法で持つことを考えるべきなのです。
その第一選択肢は、「株式」ということになります。