膝の痛みを起こす病気の中で、最も多いのが加齢や体重による負荷がかかって膝関節の軟骨がすり減って骨が変形する「変形性膝関節症」だ。そして膝の痛みが慢性化している人の多くは、40〜50代の時に、膝に違和感を感じていた人が多いという。「膝の痛みは、心にも影響を及ぼす危険性があります。10年後、20年後に膝の痛みで暮らしに支障が出ないよう、 他の病気と同じように早期治療が肝要なのです」と、丸山院長は注意を呼び掛ける。

「過去に変形性膝関節症だと思って受診した患者の中に、骨の一部が死滅してしまう骨壊死を起こしていた人がいて、人工関節の手術をしました。膝の違和感を放置せず、早期発見・早期治療ができていれば、自分の骨軟骨を移植することにより温存できるケースも数多くあります」(丸山院長)

急激な温度変化は避けて
冷え対策で膝をケア

 寒い季節に入ると血行が悪くなり、筋肉が硬くなって柔軟性が低下した結果、膝痛が生じることがある。室内は暖房などで暖かい一方、室外に出ると寒く、こうした寒暖差の影響から膝痛を感じる人も増える時期でもある。

「体が冷えてしまうと痛んだ軟骨に刺激を与えてしまうので、なるべく急激な温度変化を避けた方が良いです。適度な運動をすることが大事で、自分が無理なく続けられる運動法を日課としてやってみてください。椅子に座った状態で足を伸ばして、足首を上に向けて膝の裏側をストレッチするのもおすすめです。スクワットする際は、背中を壁につけて浅くスクワットする方が膝への負担が軽減します。膝の運動をする前に入浴して温めておくと関節の動きが滑らかになりますよ」(同)

膝痛の予防で見直すべきポイントは
「歩き方」「座り方」「食事」の3つ

 コロナ禍における緊急事態宣言によって外出自粛をしたため、「コロナ太り」した人が多いというが、それを解消しようとして急に運動をした人が膝を痛めるケースも増えている。そんな人が見直すべきポイントは、「歩き方」「座り方」「食事」の三つだ。順番にご紹介しよう。