精密なハンドリングで
スポーティな走り

2トーンのボディカラーはP専用で2パターン(ホワイト×ブラック、ブラック×ブロンズ)を用意する。ルーフレール(シルバー)はオプションとされた2トーンのボディカラーはP専用で2パターン(ホワイト×ブラック、ブラック×ブロンズ)を用意する。ルーフレール(シルバー)はオプションとされた

 その走りはスタイルから受けた印象どおりで、これまでのアウトランダーユーザーがうらやむほどのステップアップを果たしていた。

 走り出してすぐにオーバークオリティだと思わせるほどのボディ剛性を感じさせ、同時にシャシーのしなやかさが素直なハンドリングだけではなく、心地よさまで導き出しているのが伝わってくる。だからといってシャシー剛性に不足があるわけではなく、直進性はもちろん、操縦性もハイレベルで、そのハンドリングはまさに意のままであり、モーターによるハイレスポンスも相まって精密さをさらに極めていた。

光軸自動調節機構付きのアダプティブLEDヘッドライトを標準装備。LEDのフロントフォグライトも備わった光軸自動調節機構付きのアダプティブLEDヘッドライトを標準装備。LEDのフロントフォグライトも備わった

 今回の試乗会は、プロトタイプをサーキットで走らせるという内容だったため、一般的な段差や道路の継ぎ目などを走行するようなシーンは体感できなかったが、これだけのしなやかさを手に入れ、さらに豊かなサスストローク量を確保できているならば、日常での不快感はないだろうことは、容易に想像できた。ハンドリングと安定性を提供してくれるS-AWCはリアにもAYC(アクティブヨーコントロール)制御をプラスすることで、ハンドリング性能をアップさせつつ、さらに安定性も引き上げられていた。だから、タイトなコーナーであっても、これから曲がるぞ、というきっかけをクルマに伝えておけば、安易にアンダーステアが顔を出すことがなく、どこまでもノーズはインを突いていく。つまり、スポーティ。

 高負荷を掛け続けるサーキットでの走行ではあったが、走り出し直後からの高トルク、そして高レスポンスを感じさせ、EV的なフィーリングも強く印象に残った。ドライブモードはノーマルをベースに、ECO、パワーといった運転スタイルで選ぶモードのほか、ターマック、グラベル、スノーに加えて、新たにマッドを、1つのダイヤルでセレクト。さらに、ダイヤルを押すこととヒルディセントコントロールを作動させることができる。使いやすさだけではなく、分かりやすさまで提供していることもポイントだ。

 これまでの三菱クロスオーバーSUVの課題だと感じていたリアシートの乗り心地についてもチェックしてみた。乗り心地の面ではマイナスを感じるところはなく、リア駆動セクションからのノイズも抑えられており好印象。先にお伝えした不満さえなければ……と感じてしまったほどだ。

ベーシックグレードのM(5人乗り/462万1100円)、コネクテッド機能など装備充実のG(5人乗り/490万4900円、7人乗り/499万6200円)、専用内外装の上級仕様のP(7人乗り/532万700円)をラインナップするベーシックグレードのM(5人乗り/462万1100円)、コネクテッド機能など装備充実のG(5人乗り/490万4900円、7人乗り/499万6200円)、専用内外装の上級仕様のP(7人乗り/532万700円)をラインナップする

 オールマイティたるクロスオーバーとしての価値はもちろん、PHEVがもたらす新しい走り、そして環境・燃費性能といった美点を変えることなく、それどころかすべてをブラッシュアップさせて、魅力を大きく増した。フルモデルチェンジとともに販売価格上昇も伴うモデルが多い中、価格は462万1100円からと、先代の価格帯から大きくアップさせていないことも、アドバンテージとなっている。

文=吉田直志 写真=三菱自動車 編集=iconic

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