寝る際にはスマホを
手が届かない場所に置く

「夜、寝る前」は、比較的スマホから離れることのできる時間帯なので、うまく実践できる可能性が高く、しかもかなりの割合で不眠の改善が期待できます。

 心身の不調を抱えておられる方も同様です。ご自身に「スマホ時間」が長い自覚がある場合は、まず「寝る前のスマホ」をやめてみてください。きっと改善の糸口となるはずです。

 でも、ただ「なるべく寝る前は見ないようにしよう」と思うだけではなかなかうまくいきません。枕元に置いたスマホが気になって、ついつい寝ながら手が伸びてしまいます。

 寝る前のスマホを手放す最大のコツは、「スマホと物理的に距離を置くこと」です。つまり、スマホを枕元に置かない。シンプルですが、これに尽きるのです。

 別の部屋に置く方法もありますが、もし緊急の電話が入ったり、地震警報などのアラームが聞こえなかったりしたらと思うと不安になるかもしれません。

 そこで私は、寝室のなかでもベッドや布団からは絶対に手が届かない棚や、デスクなどの上にスマホ置き場をつくりましょう、とおすすめしています。

 夜寝るときは、多くの方がスマホを充電すると思います。そこで、充電器や充電スタンド自体を、寝室のなかの寝床から手の届かない場所に設置してしまえばよいのです。最近ではプラグを挿さなくても充電できる、非接触の充電トレイや充電ステーションと呼ばれるグッズも普及するようになりました(スマホの機種によって使用できない場合もあります)。

 こうしたグッズを置く場所を、ひと工夫してみるのが得策です。私も実際にクリニックで、朝の起床が難しく会社に遅刻を繰り返すため、睡眠障害を疑って受診された患者さんにこの方法をおすすめしたところ、睡眠薬などをまったく使わずに、数週間で毎日定時に出社できるようになりました。

「寝る前のスマホ」をやめて、体調がよくなった。これはまぎれもない“成功体験”そのものです。

 それが、さらに「スマホ時間」を減らす弾みになるのです。そこで次は、「半分、減らす」ことを目安に、“行動変容”を起こしてみましょう。