「未達」でも落ち込まず、「達成」も過剰に喜ばない

目標にも、とらわれ過ぎてはいけません。

時々目を閉じて、こうありたいと描く未来の絵を想像するのはいいでしょう。

でも、その絵も描くたびに姿を変えていいのです。

「あの目標を決めたから」と自分で自分をがんじがらめにしないように。

そもそも、人間という生物の命に、あらかじめ決められるゴールなんてない。

自分がいつまで生きられるか、誰にもわかりません。

だから、いつ達成するかなんて決められるわけがない。

つまり、ゴールを決めることは生物として矛盾したプレッシャーを浴び続けることになる。

生命のあり方を考えたら、ゴール設定そのものが非常に不自然な無理を強いることなのだとわかります。

ある種の諦観に立って、「今この瞬間にできるところまで精一杯やってみよう」と受け入れるほうが、かえって勇気が湧きませんか。

未達で落ち込むこともなければ、達成を過剰に喜ぶこともない。

僕はずっとそんなそよぎの中にいます。

(本原稿は、中野善壽著 『孤独からはじめよう』から一部抜粋・改変したものです)