多くの日本人にとって
韓国が理解し難い理由

 韓国は隣国である。文化的にも東アジアの文化圏にあって近い関係である。日韓の交流は活発だ。日本人も韓国人もお互いの文化芸能に憧れ、親近感を抱いている。それでも日本人にとって韓国人は理解し難い国である。

 その根本原因は、韓国人が頭ではなくハートで考えるからであろう。韓国人が頭で考えていれば、日本人も韓国人を論理的に理解することが可能であろう。しかし、韓国人がハートで考え、日本に対しては感情的に行動するから、ますます理解が難しくなる。

 韓国の外交は、日韓関係ばかりでなく対米関係、対中関係などでも国益ではなく感情で動いている。感情で動く典型的な例が、東京オリンピックで見せた韓国の不可解な行動である。(『韓国が「オリンピック精神より反日活動」を重んじる理由、元駐韓大使が解説』を参照)

 韓国の外交が国益で動いていれば、交渉の余地はある。しかし、歴史問題において韓国の外交はとても国益に基づく行動とは思えない。韓国人の行動様式は自己中心的であり、客観的に分析した行動とは思えない。

 日本に対しては戦前の被害者意識がある。韓国人は、「自分たちは日本を許そうという気持ちがあるが、日本がそれに応えてくれず、むしろ保守化傾向を強め、反韓・嫌韓に向かっている」とみている。

 日本人の大半は日本が民主主義国となったと認識しているが、こうした見方にはっきりと言及した韓国の大統領は金大中(キム・デジュン)元大統領くらいである。特に、革新系の故盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領と文大統領は、日本が保守反動化していると指摘し、民主化している事実を否定する傾向が強い。そのため日本人とは全く異なる日本を描いている。

 ただ、韓国の国民は決して日本が嫌いではなく、国民と政府の意識に大きなギャップがある。韓国人は日本よりも中国のほうが嫌いである。しかし、政府レベルでは全く逆である。こうした国民レベルと政府レベルでの対日認識の違いが、日本人の韓国理解を難しくしている側面もある。