タップダンスで始まった
チェーン方針説明会

 業績を回復させる努力を続ける一方で、社長就任時からの課題であった経営改革の準備も進めました。それを公表したのが、19年3月に行った、フランチャイズオーナーたちへのチェーン方針説明会です。

 食中毒事故があった年度末の開催でしたから、ほとんどのフランチャイズオーナーの人たちは、「食中毒事故を発生させて申し訳ない」という私のおわびから始まると思っていたようです。

 ところが、説明会はいきなりタップダンスで始まりました。

 例年であれば、パワーポイントで作成した資料をスライドで映しながら、社長が30分ぐらい話し、その後、営業本部長などが45分ぐらい話して終わります。

 しかし、19年3月の説明会は全く違いました。

 加盟店や当社社員など約600人が集まる中、まず壇上では古い映画の映像が映し出され、それから黒いドレスを着た一人の女性が壇上に現れて、タップダンスを始めました。さらに4人の女性が加わり、5人でタップダンスをしていると、その真ん中に全身シルバーのタキシードを着た男性が出てきて、タップダンスを始めたのです。

 その男性タップダンサーは、実は私でした。

 一生懸命に踊りましたが、タップダンスはまったくの素人です。フランチャイズオーナーの人たちは、次第に「あれって栄輔さんじゃない?」と気づき、会場のあちこちで笑いが起こりました。

 それでも約7分間のタップダンスを披露した後、そのまま方針説明のスピーチを行いました。

 なぜ、タップダンスを踊ったのかと、多くの人に聞かれました。