米国の利上げの日本経済への影響は軽微

 米国ではインフレ率が高まり、中央銀行が金融緩和を縮小する動きを見せている。株価は金融政策の影響を強く受けるので、株式市場の参加者は米国の金融政策に非常に強い関心を持っているが、日本の景気を考える上ではそれほど気にしなくて良いと筆者は考えている。

 第一に、実体経済に対する金融政策の影響は、株価に対する影響よりもはるかにマイルドなものだからだ。よほどのインフレにならない限り、中央銀行は景気を失速させるほどの金融引き締めを行うことはない。

 せいぜい、金融緩和で世界中に流れ込んでいた資金が逆流することで、経常収支赤字国が資金流出に悩むことになる、といった程度であり、日本経済への影響は軽微なものにとどまると思われる。

 第二に、2021年のインフレが資源価格高騰、部品不足、物流の問題などに起因する「悪いインフレ」であったのに対し、来年は仮にインフレが続くとしても、景気拡大による賃金上昇が物価を押し上げる「良いインフレ」になると思われる。

 中央銀行が判断を誤ることで、インフレになったり不況になったりする可能性は否定できないが、それでもスタグフレーション(景気の停滞と物価上昇が同時進行すること)になる可能性は小さい。これも日本経済を考える上での安心材料といえるだろう。