自信を持って推薦できる
3台がそろいました

 私が選んだのは、2001年式ポルシェ「ボクスター」です。ポルシェ特有の繊細さと遊び心を兼ね備えた、納得の1台ではないでしょうか? 私が中古車市場で見つけた1台は、コンディション良好で走行距離約11万キロ。そんなポルシェが8500ドル(約97万円)というお手頃価格で手に入るのですから、気になって仕方ありません。

 シルベストロ氏が重視したのは、コストパフォーマンスとコンディションでした。彼の掲げる基準と予算5000ドル(約57万円)にかなった1台…。それは、サスペンションに難があり、走行距離も50万キロになろうかという、エンジンを乗せ換えた9000rpmのホンダ「S2000」でした。

「『S2000』と言えば、信頼性が極めて高い上に維持費もさほど掛からず、満足度の高いクルマです。さらにエクステリアのデザインの良さも好印象です」と、シルベストロ氏のコメントは強気そのものです。

 実は私もかつて、「S2000」を所有していました。その魅力についてはよく承知しているつもりです。ですが、彼の選択には議論の余地があります。エディターのブラウン氏によれば、「スポーツカーに求められるのは、維持しやすさや手軽さ、消費者レビューの星の数などではない」と主張するのです。

 そう語るブラウン氏が選んだのは、1999年式BMW「Z3 Mロードスター」。見事なトルクとゲルマン魂を兼ね備えたスリリングな1台です。ブラウン氏が見つけたモデルの値段は3300ドル(約38万円)、走行距離は30万キロ超という状態です。事故歴アリとのことですが、あのBMW「Z3」を特別な1台にせしめたのと同じ、スムーズな回転を誇るエンジンを搭載しています。「ボクスター」ほどには洗練されておらず、ホンダほどカルト的な評価もありません。ですがそれでもブラウン氏は、“このクルマの希少性こそが個性と成り得るのだ”と主張を曲げようとしません。

「まさに、特別なクルマです。乗ってみれば、スポーツカーとしての基本機能をすべて備えていることが実感できます。『S2000』のようなトップレベルの性能を備えているわけではありませんが、エキサイティングな乗り心地という意味においては遜色ありません」と、ブラウン氏も強気です。

 われわれが選んだ3台はどれも、どこか無謀で、バカげたところもあり、突っ込みどころのあるクルマたちです、それは認めます。「ならば、実際に走行してみた上で決着をつけよう!」ということになりました。

なかなか順調な走りを見せる
「ボクスター」

 実は、この中古の「Z3 Mロードスター」のドアですが、一度内側に押し込んでからでないと開きません。急ブレーキを踏めばシートが少しスライドし、アイドリング時には油圧ランプが点滅します。おまけに、純正から取り換えたクラッチのペダルは遊びがなく固めです。

 同じく中古の「S2000」には、最高クラスのKWサスペンションが装備されていますが、オーバーホールされたエンジンからは青白い煙が立ちのぼります。「ボクスター」の健康状態は(今のところ)上々に見えますが、純正のIMSベアリングにやや不安な兆候が見え始めており、ハードなコーナーリングではオイル漏れの心配もあります。