「マンションは今が買い時だ」という主張の例で考えてみましょう。いくら有名な不動産評論家が発言したとしても、主張だけされても第三者は納得しません。「なぜ買い時なのか?」という疑問が湧くからです。

 そこで説得材料として「なぜならば、マンション価格の動向が……、1%を切る低金利ローンが……」というデータを提示して説明します。追加の材料として「今後も価格が上昇するので、賃貸で家賃を払うよりもお得」という論拠で説得したとします。こうして、聞き手の「なぜ?」という疑問が解消できれば、説得力が高まります。

 ちなみに、大手の住宅情報誌の主張(結論)は「今が買い時」です。なぜなら「今は買わない方がいい」と大手の情報会社が主張すると、不動産の買い控えが起きて不動産価格が大暴落するかもしれません。また不動産会社としても、「今が買い時」と主張してもらわないと、販売活動に支障が起きてしまいます。

 先ほどのケースとは逆に、根拠を先に伝えて、主張でまとめる例を考えます。根拠を伝えたら「So What?(だからどうした?)」で主張を伝えます。

 不動産評論家は説得材料(データ)として、「マンション価格の動向、1%を切る低金利ローン」のデータを提示します。また説得理由として、データを使って「今後も価格が上昇し、賃貸で家賃を払うよりもお得」という論拠を説明しました。

 これだけでは現状説明と今後の予測の段階で止まってしまいます。聞き手は「だからどうした?」が気になります。そこで主張(結論)を伝える必要があります。「だから、マンションは今が買い時だ」という主張で相手を説得するわけです。

 三角ロジックは論理的か否かを確認するために見える化したものです。頭の中で三角ロジックがイメージできれば、今どこの話をしているのかがわかります。