昨年3月の民政化以降、ミャンマーにおいては矢継ぎ早に大掛りな改革プランが打ち出されており、現在でも数多くの法律が修正や新規作成の途上にある。従前の軍政下でのミャンマーであれば、そもそも法律の改正はそれほど重要視されていなかったが、民主化以降においては、その改正プロセスは当然ながら民間の意向を配慮して執り進める必要がある。特に経済やビジネスに関連する法律であれば、実際の経済界の意向を無視した修正であれば、単なる机上の空論での改革に終わってしまう。
はたして、ミャンマーで現在進めている改革は、どの程度ビジネスの実態やニーズに即して進められているのだろうか。またそれを担う経済界側の窓口はどこなのか。そして、そこではどのように政府と民間との意見のすり合わせが行われているのだろうか。これらの疑問に答えるために、ミャンマー商工会議所 (The Republic of the Union of Myanmar Federation of Chambers of Commerce & Industry, “UMFCCI”)のゾー・ミン・ウィン(Zaw Min Win)副会頭に話を聞いた。
民生化以降に影響を受けた
経済分野の4つのポイント
Photo:Japan Asia Strategic Advisory
――昨年以来多くの変化がこの国に起こり、その結果多くの国内外の人々がミャンマーはついに変革に本格的に取り組み始めたと思っている。ミャンマー内部から見ての今までの変化のポイントは何か。
まずは、2011年3月に現政権になってからの、民政下における経済改革と政治改革の概要を説明したい。
現政権は多くの法律において、新たに修正や変更を実施してきた。その動きの根底には、民主化への大きなスタンスの変化がある。これが変更における1点目のポイントだ。
2点目のポイントとしては、市場の自由化だ。現政権以前においてもミャンマーは市場経済ではあったものの、それが十分機能的に運営されているとは言えない状況だった。それが現政権になって、国外に向けて市場開放を明言している。実際、昨年以降、現政権は自由化を推し進め、それまで存在していた経済成長における障壁の撤廃に動いてきた。
――経済的な側面でも、今までに至るまででも、多くの変化が短期間に行われた。その中でも特に影響の大きい変化をあえて挙げるとすると、何になるだろうか。
この点については、いくつかあげられると思う。まず一点目として民間投資を促進する環境整備がある。現在わが国においては、民間セクターが非常に重要視されており、経済発展において主体的な役割を期待されている。政府も、民間セクターの経済活動に対してより多くのインセンティブを付与し始めているが、その対象は国内民間企業のみならず、海外の民間企業による直接投資も含まれる。