薬学部の教育では、留年や退学などをせず、どれだけの学生が6年間で卒業できたかを示す「卒業率」の低さが問題となっている。ダイヤモンド編集部が57私立大学の薬学部を調べたところ、卒業率が50%未満の大学が10校あった。卒業率が低い薬学部はどこか。特集『薬剤師31万人 薬局6万店の大淘汰』の番外編では、57私立大学薬学部「卒業率」ワーストランキングをお届けする。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)
薬学部「卒業率」の低さが問題視
10校で卒業率が「50%未満」
「入学時点の同級生は300人強。ところが6年間で卒業して薬剤師になれたのは、たった80人ぐらいだ。留年や退学する知人も多かった」。ある有名私立大学薬学部出身の若手薬剤師は、学生時代をこう振り返る。
薬学部の教育で問題の一つとなっているのは、留年率や退学率の高さだ。一部の大学では国家試験の合格率を底上げするため、不出来な学生を留年させることが横行している。
厚生労働省の有識者会議「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」は、薬学部について「学生の質の維持に課題がある大学が存在する」と指摘した上で、「標準修業年限の6年間で卒業し、国家試験に合格できる学生は私立大学の場合6割に満たない状況」などと警鐘を鳴らした。
そこでダイヤモンド編集部は、検討会で指摘された「三つの指標」を基に、全国の私立大学薬学部を対象に「淘汰危険度」ランキングを作成した(『薬学部「淘汰危険度」ランキング【56私立大・2022年版】2位千葉科学大、1位は?』参照)。
今回はこのうち、2015年度入学者の中でどれだけの学生が留年などをせずに、6年間で卒業できたかを示す「卒業率」に焦点を当ててランキングを作成した。
ランキングの対象となった57校の私立大学のうち、なんと10校で卒業率が50%未満だった。“卒業できない”薬学部はどこなのか。ランキングを見ていこう。