学生の質の維持に課題がある大学が存在する――。将来薬剤師は最大12.6万人過剰になるとの予測をまとめた厚生労働省の有識者会議は、増殖した私立大学の薬学部にも警鐘を鳴らした。国家試験合格率の低迷に定員割れや留年。課題を抱える薬学部の淘汰は必至だ。特集『薬剤師31万人 薬局6万店の大淘汰』の番外編では、最新2022年版の薬学部「淘汰危険度」ランキングをお届けする。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)
人気低下が止まらない薬学部
「適正規模を早急に検討」と厚労省も警鐘
薬学部に淘汰の足音が迫っている。
2021年夏に報告書をまとめた、厚生労働省の有識者会議「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」。そこでは45年に薬剤師は最大で12.6万人過剰になるとの予測を公表したほか、薬剤師を育てる薬学部にも厳しい視線が注がれた。
検討会は、「学生の質の維持に課題がある大学が存在する」と指摘した上で、今後人口減少により進学する学生の数が減ると予想されることから、「入学定員数の抑制も含め教育の質の向上に資する、適正な定員規模の在り方や仕組みなどを早急に検討し、対応策を実行すべきである」と提言した。要するに、駄目な薬学部は淘汰すべきであると踏み込んだのだ。
薬学部の6年制が始まる前だった02年度の薬学部の定員は8200人。これが20年度は1万1602人と約1.4倍も増えた。
ところが、薬学部を志望する学生の数は減少の一途だ。日本私立薬科大学協会によれば、21年度の私立大学薬学部の入学志願者数は6万7717人で、前年度から約7300人減少した。湘南医療大学など新設の薬学部があったにもかかわらず、入学志願者数は7年連続の減少で、薬学部の人気低下が止まらない。
薬学部数やその定員数が増加する一方で、受験者が減ってしまえば存続が危ぶまれる薬学部も出始める。
ダイヤモンド編集部は、検討会で指摘された「三つの指標」を基に、全国の私立大学薬学部を対象に「淘汰危険度」ランキングを作成して21年12月に配信している(本特集の#3『薬学部「淘汰危険度」ランキング【55私立大】2位千葉科学大、1位は?』参照)。
今回は、1月27日に文部科学省が公表した最新の薬学部の修学状況などのデータを反映し、22年版の薬学部「淘汰危険度」ランキングを作成した。
今後、淘汰される危険性の高い薬学部はどこか。最新版のランキングを見ていこう。