2019年
「マスタング・ブリット」― 4.4秒

2019年「マスタング・ブリット」― 4.4秒BRAD FICK / CAR AND DRIVER

 1968年公開の映画『ブリット』の中で、「ブリット」を駆るスティーヴ・マックイーンの雄姿を映画館で目にしたあの日以来、私たちにとってフォード「マスタング・ブリット」はずっと特別な存在です。そんな私たちのもとに、4万マイル(約6万4274km)の長距離テスト用の1台がフォードから提供されました。480馬力のパワーを駆使すれば、0-100km/h加速は4.4秒。パワーの劣る「GT」よりも若干低い数字ですが、これは「ブリット」に搭載されているキューボール型シフトレバーのトランスミッションの操作が若干甘めであるためです。わずか0.5秒のロスに過ぎないということであれば、納得のいく数字です。

2020年
「マスタング・シェルビーGT500」― 3.4秒

2020年「マスタング・シェルビーGT500」― 3.4秒GREG PAJO / CAR AND DRIVER

 マッスルカーにも繊維質が求められる、そんな時代になりました。つまり、カーボンファイバーのことです。歴代最速を誇る新型「マスタングGT500」は、馬力の面ではシボレー「カマロZL1」を凌駕しつつも、0-100km/h加速は3.4秒とやや後塵を拝しています。しかし、クオーターマイル(ゼロヨン)のタイムを比べてみれば、このモデルの叩き出すタイムは「ZL1」やダッジ「チャレンジャー・ヘルキャット・レッドアイ」より上を行っています。

2021年
「マスタング・マッハ1」― 4.3秒

2021年「マスタング・マッハ1」― 4.3秒MARC URBANO / CAR AND DRIVER

「ブリット」、そして「シェルビーGT350」が生産中止となってしまった今、480馬力を誇る「マスタング・マッハ1」こそが最後の砦と呼ぶべき存在です。標準仕様の「マスタングGT」と比べて20馬力高く、トランスミッションには「GT350」の6速マニュアルと同じものを採用しており、さらに10速オートマチックも用意される予定です。

 今回のテスト走行に用いられたのは、6速マニュアルトランスミッションにミシュラン・パイロット・スポーツカップ2を装備した1台です。0-100km/h加速は、4.3秒という成績でした。「GTパフォーマンスパッケージ2」や「GT350」には若干及ばなかったものの、その差はわずかコンマ数秒に過ぎません。

2021年
「マスタング・マッハE」― 5.1秒

2021年「マスタング・マッハE」― 5.1秒MARC URBANO / CAR AND DRIVER

 完全電動のクロスオーバーのモデルに、「マスタング」の名を冠することの是非については、賛否両論、激しい論争が巻き起こったほどです。「CAR AND DRIVER」が試乗テストを行ったデュアルモーターの「マスタング・マッハE」の出力は、346馬力を誇ります。ですが、従来のマスタングと異なるのは、全くの無音であるという点です。

 車重は2203kgと、歴代のマスタングの中で最も重量のある1台です。5.1秒という0-100km/h加速の数値は第5世代の「マスタングGT」を上回るもので、特に時速80.5キロから時速112.6キロの加速はわずかに2.8秒という性能です。そして、全輪駆動のこのマスタングの高速道路での航続距離は160kmに達します。

「マスタング」の名を引き継ぐことに反対という人も、このクルマのハンドルを握る心構えをしておくべきかもしれません。先日「エスクァイア日本版」でも紹介したように、アメリカのカーメディアの中には「2021年のEVオブ・ザ・イヤー」の1台に選出したところも多く、「CAR AND DRIVER」もそのメディアの中の1つなのです。

Text by エスクァイア編集部 and CAR AND DRIVER編集部
Source / CAR AND DRIVER
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です。

フォード「マスタング」の加速をモデルごとに比較!最新EVも含めた結果は?