【キエフ(ウクライナ)】ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が全面的なウクライナ侵攻を命じる可能性について西側諸国はあれこれ推測しているが、人口4000万のウクライナ国内では、すでに1つの確信が生まれている。それは、何が起きようとも、ロシアの脅威は消え去らないということだ。
西側諸国とウクライナの当局者らは15日、一部部隊を撤収させるとのロシアの発表について、ロシアがウクライナとの国境地帯に集結させた12万人の兵力の大半を撤収させる前触れなのかどうか、判断しようと努めていた。
しかしウクライナの当局者らは、たとえ即時侵攻の脅威が後退したとしても、長期的に脅威に備える必要があると述べている。それはつまり、ウクライナの独立を脅かすロシアの姿勢が恒常的な現実になっているとの認識の下で、ウクライナの経済と社会の立て直しを図らざるを得ないということだ。
プーチン氏は再三にわたり、ウクライナ人とロシア人は同一だと述べており、ウクライナの存在を、真の国家ではないと片付けている。同氏はまた、ロシア政府がウクライナ侵略を計画しているとの見方を否定している。
ウクライナの国家安全保障・国防会議書記のオレクシイ・ダニロフ氏は、14日のインタビューの中で「プーチン氏は毎朝起きるたびに、われわれがもはや存在しないという状況をどうすれば実現できるか考えている」と語った。「ロシアがウクライナとの国境付近に部隊を展開しているのか、その部隊を撤収させるつもりなのかは、われわれにとってニュースではない。われわれは、ロシア連邦からの戦略的脅威に直面している。今回と同様にプーチン氏がウクライナとの国境地帯に軍を集結させ、世界とウクライナをノイローゼにさせようとするのが、次はいつになるのかということが、われわれにとって重要な唯一の問題だ。われわれにとって気の休まる時はない」
1991年のウクライナの独立以降、同国への全面的侵攻の恐れが生じたのは、今回が初めてだ。しかし、ロシアが2014年に当時ウクライナ領だったクリミア半島を併合し、ドンバス地方東部での紛争を引き起こして以来、ウクライナは常に戦争状態にある。