抗議する市民Photo:NurPhoto/gettyimages

ウクライナ情勢をめぐる米国・NATOとロシアの対立を、下斗米伸夫・神奈川大学特別招聘教授/法政大学名誉教授は、ウクライナを舞台に米国とロシアによる核管理とヨーロッパの安全保障を含めた国際秩序の作り直しとみる。だが双方が軍事力を誇示して相手に譲歩を迫るチキンゲームのような展開は、中央アジアの民族やイスラム勢力も絡んで偶発的な衝突となり、さらに戦線が一気に拡大する恐れがある。下斗米教授は、ウクライナのNATO加盟は20年間の猶予期間を置き、東部2州の分離派支配地域はフィンランドやスウェーデンと併せて中立地帯にするなどの知恵を働かせる余地があると語る。(聞き手/ダイヤモンド編集部特任編集委員 西井泰之)

>>前編『ウクライナ緊迫、ロシア研究の第一人者が「軍事侵攻は起こり得る」と考える理由』から読む

突然のカザフスタン政変劇
トルコやイスラム勢力をけん制?

――ロシアのウクライナへの軍事侵攻の可能性を考える上で、今年1月のカザフスタンの政変から何がみえるのですか。

 カザフスタンで、旧ソ連邦崩壊後、独立以来、長年権力を握っていたナザルバエフ前大統領が失脚した。大統領職は2019年に辞めて、トカエフ大統領に譲っていたが、終身大統領のように一族が隠然たる力を持っていた。

 だが騒動の背後に、「外部勢力」があるといわれている。